「母と話すと、なぜかいつも疲れてしまうんです」——四十代の女性が、ため息まじりにこうおっしゃいました。親を嫌いなわけではない。けれど電話を切ったあと、必ず気持ちが重くなる。そんな自分を「親不孝だ」と責めていらっしゃいました。
また別の日には、小学生のお子さんを持つお母さまから、「この子の考えていることが、まったく分かりません」というご相談もありました。同じ家で暮らし、同じものを食べているのに、通じ合えない。親子の悩みは、近いからこそ深くなります。
私はどちらの方にも、同じことをお伝えしました。それは愛情が足りないからでも、育て方が悪いからでもありません。持って生まれた気の質が、親と子でそれぞれ違うだけです、と。今日は五星算命学(算命学)の視点から、親子関係をどう読み、どう付き合っていけばよいかをお話しします。
親子でも「気の質」はまったく別物
似ていないのは、おかしなことではありません
「親に似ていない」「子どもが自分と違いすぎる」と悩む方は少なくありません。けれど算命学では、親子が違うのはごく自然なことと考えます。生まれた年月日が違えば、持っている気の配置も違うからです。
血がつながっていても、気の質は別々です。親が慎重な質で、子どもが直感で動く質ということは、いくらでもあります。そのとき、親は「どうしてもっとよく考えないの」と思い、子どもは「どうして分かってくれないの」と感じます。お互いに悪気はなく、ただ言語が違っているのです。
「分かり合えない」は、関係の終わりではありません
分かり合えないと感じると、私たちはつい、関係そのものが壊れているように思ってしまいます。けれど、違う質の者同士が暮らしているのですから、すれ違いは起きて当然です。
大切なのは、分かり合おうと無理をすることより、「この人はこういう働き方をする人なのだ」と受け取ることです。そこから距離の取り方が見えてきます。
親を苦手に感じてしまう方へ
苦手な気持ちは、自然な反応です
親に対して苦手意識を持つことを、多くの方が後ろめたく感じていらっしゃいます。ただ、私が鑑定でお会いする限り、親子だから必ず相性が良いということはありません。むしろ、気の質が近すぎても、遠すぎても、ぶつかりやすくなります。
苦手だと感じるのは、あなたの冷たさではなく、相手の気の出し方と自分の受け取り方が合っていないというサインであることが多いのです。まずはその感覚を否定せず、そのまま認めてあげてください。
距離を置くのは、関係を守るための工夫です
会う頻度や連絡の回数を減らすことに、罪悪感を覚える方は多いものです。でも私は、適切な距離を取ることは、関係を長く続けるための工夫だと考えています。
月に一度、短い時間だけ穏やかに会う。毎週の長電話をやめて、用件のあるときだけ連絡する。そうして余裕ができると、不思議と親への言葉がやわらかくなります。近づきすぎて傷つけ合うより、ほどよい距離で優しくいられるほうが、お互いのためになります。
子どもの気質を見守るという考え方
「困った行動」は気質の表れかもしれません
落ち着きがない、頑固、引っ込み思案。親の目には心配に映る特徴も、算命学から見ると、その子の持ち味であることがよくあります。じっとしていられない子は、エネルギーを外へ出す力が強い。頑固な子は、自分の軸がしっかりしている。引っ込み思案の子は、物事を深く観察する力を持っています。
もちろん、何でも「気質だから」で済ませてよいわけではありません。けれど、直そうとする前に「この子はどういう力を持っているのだろう」と見てみると、関わり方が変わります。叱る言葉が、育てる言葉に変わっていくのです。
親の理想を、そのまま渡さない
親はどうしても、自分が正しいと思った道を子どもに勧めたくなります。それは愛情からですが、子どもの気の質に合わない道だと、本人は努力しても報われにくいのです。
ご相談の中で、「親に勧められた進路を進んだけれど、ずっと息苦しい」とおっしゃる方にたくさんお会いしてきました。子どもには、子どもの時期があり、子どもの向きがあります。親にできるのは、道を決めることではなく、歩く力を信じて待つことだと、私は思っています。
年齢や時期によって、親子の距離は変わる
距離が近づく時期と、離れる時期
運気には波があり、親子の関係にもそれが表れます。ある時期は自然と会話が増え、ある時期は口をきくのも億劫になる。それは関係が悪くなったのではなく、それぞれの気の向きが変わっているだけのことも多いのです。
とくに子どもが思春期に入ると、親から離れる動きが強くなります。これは成長に必要な過程ですので、寂しくても、追いかけすぎないことをおすすめしています。戻ってくる時期は、必ず来ます。
親が年を重ねたときに起きること
親が年を重ねると、今度は子どもが親を気遣う側に回ります。その頃になって、若い頃の確執が急によみがえる方もいらっしゃいます。
そのようなときは、「昔のことをすべて解決しなければ」と思わなくて大丈夫です。今の親の姿を、今の自分の目で見ること。過去の出来事とは別に、今できる範囲で関わること。それで十分だと、私はお伝えしています。
今日からできる、親子関係の整え方
相手を変えようとせず、自分の受け取り方を変える
親も子どもも、他人が変えるのは難しいものです。けれど、自分の受け取り方なら、少しずつ変えられます。親の小言を「心配の表れ」と受け取り直す、子どもの反抗を「自立の芽」と見る。それだけで、同じ言葉の重さが変わります。
短くても、穏やかな時間を持つ
長く一緒にいることより、穏やかな時間を持つことのほうが大切です。十分でも、お茶を一杯いっしょに飲む。食事の時間にスマートフォンを置く。そうした小さな積み重ねが、関係の土台になります。
自分の気質を知っておく
親子関係の悩みの多くは、自分がどういう質の人間なのかを知らないまま、相手にばかり原因を探してしまうところから深まります。ご自身の気質が分かると、どこで疲れ、どこで反応してしまうのかが見えてきて、対処が具体的になります。
よくあるご質問
親と相性が悪いと言われたら、もう仲良くなれませんか
いいえ、そんなことはありません。相性が悪いというのは、ぶつかりやすい傾向があるという意味で、関係が築けないという意味ではありません。傾向を知って、距離や話し方を工夫すれば、穏やかに付き合っていくことは十分にできます。
子どもとの相性は、算命学で分かりますか
はい、お子さんの気質や、親との組み合わせの傾向を見ることができます。ただ、それは「合う・合わない」を決めつけるためではなく、どう関わると伸びやすいかを知るためのものです。
親を許せない気持ちがあります。無理に許すべきでしょうか
無理に許す必要はありません。許せない気持ちがあることも、あなたの大切な感情です。ただ、その気持ちに長く縛られて、ご自身の今の暮らしまで重くならないよう、距離の取り方や心の置き方を一緒に考えていきましょう、というのが私のスタンスです。
兄弟で親との関係がまるで違うのはなぜですか
兄弟でも、生まれた年月日が違えば気の質も違います。同じ親から同じように育てられても、受け取り方が違うのは自然なことです。片方が親と仲が良く、片方が苦手でも、どちらも間違っていません。
まとめ
親子関係は、近いからこそ難しく、近いからこそ、ほんの少しの見方の変化で大きく動きます。親と子は、血がつながっていても、別々の気の質を持った別々の人間です。違うのは欠点ではなく、ただの違いです。
苦手な気持ちを否定せず、適切な距離を取ること。子どもの持ち味を見つけて、信じて待つこと。そして、自分自身の気質を知ること。この三つを意識するだけで、親子の関わり方はずいぶん楽になります。
冒頭の女性は、その後「母と、短い電話を週に一度だけにしました。不思議と、言葉がやさしくなりました」とご連絡をくださいました。関係そのものは変わっていなくても、扱い方が変わると、心の置き場所が変わるのだと思います。
もし今、親御さんやお子さんとの関係に迷っていらっしゃるなら、まずはご自身の気質を確かめてみませんか。そこには、責めるべき欠点ではなく、これから関係を整えていくためのヒントが書かれているはずです。

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