「私って、結局どういう人間なんでしょうか」——鑑定の最後に、ぽつりとこうおっしゃる方がいらっしゃいます。先日も、三十代の男性が、仕事の相談をひと通り終えたあとでこの言葉を口にされました。転職を三度されていて、そのたびに「自分は飽きっぽいんじゃないか」と責めていらしたそうです。
宿命を拝見すると、その方は、ひとつの場所に長く留まるより、新しい環境で力を発揮する気質をはっきりと持っていらっしゃいました。飽きっぽいのではありません。動くことで生きる方なのです。そうお伝えしたら、「じゃあ、悪いことじゃなかったんですね」と、ずいぶん長く黙っていらっしゃいました。
五星算命学(算命学)は、生年月日から、その方が生まれ持った気質を読み解く学問です。占って当てるものではなく、自分の設計図を確かめるもの、と言ったほうが近いかもしれません。今日は、算命学で「自分の性格」をどう読むのか、そしてそれを知ることが暮らしをどう変えるのかを、鑑定の現場からお話ししていきます。
算命学でいう「性格」とは、何を指しているのか
後から身につけた性格と、生まれ持った気質は別のもの
私たちがふだん「性格」と呼んでいるものには、二つのものが混ざっています。ひとつは、生まれ持った気質。もうひとつは、育った環境の中で身につけた振る舞いです。
算命学が読むのは、前者のほうです。人に合わせるのが上手な方が、必ずしも協調的な気質とは限りません。厳しい環境の中で、合わせることを覚えただけかもしれない。そして身につけたもののほうが、生まれ持ったものと食い違っているとき、その方はとても疲れやすくなります。
当たっているかどうかより、「腑に落ちるか」で確かめる
鑑定でお伝えした内容に対して、「言われてみれば、たしかに」とおっしゃる方と、「そんなことはないと思います」とおっしゃる方がいらっしゃいます。私は後者のお返事も、とても大事だと思っています。
否定される方の多くは、その気質を長く抑え込んでこられた方だからです。「本当は人に指示されるのが苦手な方ですね」とお伝えして、「いえ、私は素直なほうです」と返ってくる。そのあと少し話していくと、「そういえば、言われた通りにやった仕事は一度も面白くなかったです」と出てくる。性格を読むというのは、当てることではなく、こうして一緒に確かめていく作業なのです。
生まれ持った気質は、大きく三つの層で見ていく
人に見せている顔
ひとつめは、外に向かって出ている気質です。初対面の方が受け取る印象、職場での立ち位置、人からどう頼られるか。ここが強く出ている方は、「しっかりしている」「頼りになる」と言われることが多い一方で、弱音を吐く場所を失いやすくもあります。
家族や親しい人にだけ見せる顔
ふたつめは、気を許した相手にだけ出る気質です。外では穏やかなのに家では気が短い、という方は珍しくありません。これは二重人格でも何でもなく、層が違うだけです。
ご家族の相談を受けるときに、この層を必ず確認します。「外面がいい」と責められている方の多くは、外の顔と内の顔の差がもともと大きい気質をお持ちなのです。本人にもどうにもできない部分があると分かるだけで、家族の受け取り方は変わります。
自分でも気づいていない、いちばん深い部分
三つめは、本人ですら言葉にできていない核の部分です。何を大事にしていて、何をされると本当に傷つくのか。ここは、普段は表に出てきません。けれど、人生の大きな決断をするときには、必ずここが顔を出します。
頭では損得を計算して決めたはずなのに、なぜか気が進まない。そういうときは、たいていこの層が反対しています。「理屈では分かっているのに動けない」というご相談は、ここを見ると説明がつくことがほとんどです。
「短所」と思っていたものが、そうではなかった方たち
「気が利かない」と言われ続けた方
四十代の女性で、職場でも家庭でも「気が利かない」と言われ続けて自信をなくしていらっしゃる方がいました。宿命を拝見すると、その方は物事をまっすぐ深く掘り下げる気質の方で、代わりに周囲を広く見渡す働きが弱い方でした。
これは、気が利かないのではありません。一度にひとつのことに集中する力が強すぎるのです。実際その方は、資料をまとめさせたら右に出る人がいないと評価されていました。「広く気を配る役割は、得意な方にお任せしていいんですよ」とお伝えしたときの、ほっとしたお顔が忘れられません。
「頑固だ」と家族に言われ続けた方
もうお一人は、六十代の男性です。ご家族から「頑固で話が通じない」と言われ、ご本人もそれを気に病んでいらっしゃいました。
この方の気質は、一度決めたことを守り抜く力が非常に強い形でした。頑固なのではなく、約束を破ることが何より苦しい方だったのです。ご家族に「この方は、意地を張っているのではなく、筋を通さないと自分が壊れてしまう方です」とお伝えしたら、奥さまが「そういうことだったんですか」とおっしゃいました。同じ性質でも、呼び名が変わるだけで関係は動きます。
自分の性格を知ったあと、暮らしの中でできること
苦手なことを、直そうとしない
私がいちばん多くお伝えしているのが、これです。生まれ持った気質は変わりません。苦手なところを平均点まで引き上げようとすると、その方は一生、自分の弱い部分ばかりを見て過ごすことになります。
そうではなく、苦手なことは人に渡す、仕組みでしのぐ、そもそもやらない。そう決めてしまったほうが、結果として全体がうまく回ります。得意なことに時間を使えるようになるからです。
気質に合った「休み方」を選ぶ
意外に思われるかもしれませんが、休み方にも気質が出ます。人と会って話すことで回復する方と、一人で静かにしていないと回復しない方がいらっしゃいます。
ここを取り違えると、休んだはずなのに余計に疲れる、ということが起きます。「週末に予定を詰め込むのをやめて、半日だけ何もしない時間を作ってください」とお伝えしただけで、体調が戻った方もいらっしゃいました。自分の性格を知るというのは、こういう小さな選び直しができるようになることでもあります。
「向いている場所」を、一度確かめてみる
同じ気質でも、置かれる場所によって長所にも短所にもなります。じっくり考える方が、即断即決を求められる現場にいれば「遅い」と言われる。けれど、質を問われる仕事に移れば「丁寧だ」と評価されます。
ご自身を変える前に、まず立っている場所が合っているかを確かめてみてください。性格の悩みのかなりの部分は、性質そのものではなく、置かれ方から来ているものです。
よくあるご質問
性格は、努力で変えられないのでしょうか
生まれ持った気質そのものは変わりません。ただ、その出し方はいくらでも変えられます。気が短い方が穏やかな人になることはありませんが、短気が出る場面を減らすことはできます。変えるのは性質ではなく、置き方だとお考えください。
占いの性格診断と、何が違うのですか
算命学は、いくつかの型に当てはめて説明するものではありません。生年月日から組み上がる形は一人ひとり違い、同じ日に生まれた方でも、時代や環境によって出方が変わります。ですから鑑定では、必ずその方の実際の暮らしを伺いながら読み解いていきます。
生まれた時間が分からなくても大丈夫ですか
はい、大丈夫です。算命学は生年月日で読み解きますので、出生時刻が分からなくてもご相談いただけます。この点を心配していらっしゃる方は多いのですが、どうぞ気になさらないでください。
子どもの性格も見てもらえますか
はい、お子さんの鑑定はとても多いご相談です。褒めて伸びるお子さんと、任せて伸びるお子さんでは、同じ接し方をしても結果が変わります。親御さんご自身の気質と並べて拝見すると、なぜこの子とだけ噛み合わないのか、という理由まで見えてきます。
まとめ
算命学で自分の性格を知るというのは、新しい自分に生まれ変わることではありません。もともと持っていたものに、正しい名前をつけ直す作業です。
「飽きっぽい」が「動くことで力を出す人」に変わる。「気が利かない」が「深く掘り下げる人」に変わる。性質は何ひとつ変わっていないのに、その方の立ち方が変わります。そして立ち方が変われば、周りの受け取り方も、不思議と変わっていくのです。
冒頭の男性は、あれから四度目の転職をされました。けれど今回は「逃げるためではなく、選んで移りました」とご連絡をいただきました。同じ行動でも、ご自身が納得して選んだものは、まったく別のものになります。
もし今、ご自身の性格のどこかを「直さなければいけないもの」として抱えていらっしゃるなら、一度その設計図を確かめてみませんか。直すべき欠点ではなく、使いこなすべき持ち味が書かれているかもしれません。

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